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法律相談 Q&A
もしパワハラを受けたら-「裁判で勝てるメモ」を残す方法

 「死んでしまえばいい」「毎日同じことを言う身にもなれ」。パワハラ認定の決め手は、自殺した男性が手帳に記したメモだった——。福井地裁は11月末、上司の「典型的なパワハラ」によって、会社員の男性(当時19歳)が自殺に追い込まれたとして、会社と直属の上司に約7200万円の損害賠償を命じた。


 報道によると、男性の手帳には、上司から言われた言葉がびっしりと書き込まれていた。「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」といった発言など、23カ所が「パワハラ」の根拠となったという。


 ただ、自分で書いたメモは、録音・録画などと比べると、どこまで「客観的な証拠」といえるのか難しい部分もある。法的な証拠として認めてもらいやすい「メモの方法」はあるのだろうか。労働問題にくわしい岩城穣弁護士に聞いた。

●「具体的」に「詳細」に書くべし


「メモには次のような特性があるため、録音よりも信頼性が低いとみなされがちです。
(1)実際の言葉や行動よりも、おおまかで抽象的な記述になりがち。
(2)あえて事実と異なる内容も書くことができる。
(3)発言・行動からメモまでに時間が空くほど、記憶があいまいになる」

 裁判の証拠として信頼されるメモを残すためには、どうすればいいだろうか。

「(1)『抽象的』と言われないための対策は、とにかく細かい所を具体的に、かつ、詳しく書くことが大切です。

『○○のことでひどいことを言われた』というメモでは、証拠としては不十分です。
 今回のケースのように、できるだけ具体的な言葉を思い出して、やり取りを再現しておくことが必要です。

 また、実際に言われたこと・やられたことを具体的に詳しく書くのは、(2)『事実と異なる』と反論されることへの対策にもなります。

 事実と異なることを詳しく書くのは難しいことですから、できる限り思い出して詳細に書けば書くほど、迫真性、説得力が増すことになります」


●「直後」に書くべし


(3)「記憶があいまいになる」という点についてはどうだろう。
 「これは、パワハラを受けた直後に書くことに尽きます。パワハラを受けてからできるだけ早い時点で書きましょう。言われた言葉や加害者の表情、周囲の状況、自分の精神的苦痛など、まだ詳しい印象が強烈に残っている段階で書くことによって、真実に迫るメモになりますから」

 理系の研究実験ノートなどでは、記載した日付をきちんと書いておいたり、追記ができないように余白を埋めたりといったこともするようだ。こうしたことは役に立つだろうか?

「 そうですね。何か起きたら、すぐに手書きで内容をメモして、それをスマホやデジカメで撮影し、自分宛にメールを送っておけば、その日付のデジタルデータから、メモを直後に作成したことを示すことができ、よりいっそう証拠能力が高まるでしょう」

岩城弁護士はこのようにアドバイスを送っていた。

(2014/12/16弁護士ドットコム・トピックス掲載、「いわき弁護士のはばかり日記」No.224)

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